運動会の昼休みの時間。
お弁当を広げて
おやつを食べ
そろそろ周りも片付けでざわついてきた頃。
「行ってくる」
まるで闘いに行ってくるような
そんな覚悟を感じられた背中に
ハッとした。
さっきまでは親に甘えてぐでぐでだったのに。
そろそろ行きなさいって
誰も言ってないのに。
難聴の彼は、周りの空気を察知して
ちゃんと行動する。
その甥っ子なりのスイッチの切り替えに
私は本当に驚いてしまった。
妹(甥っ子のママね)から、こんな話をきいた。
数日前、帰るなり突然泣き出したそう。
「どうしたの?」と聞くと
「言いたくない」と。
ダンスの練習時間がつらかったんだね。
専門クラスとの両立で練習を欠席した彼が
みんなについていけないのは当然。
うん。当然だよ。
「あなたは何にも悪くないんだよ」
と妹は言ったのだと言う。
1年生。
小学校に入学してわずか2か月。
小さい体で一生懸命がんばってるんだね。
健気すぎて、泣けてくるよ。
私はただ気づかないふりをして
見守るだけ。
次のプログラムは、玉入れ。
出番待ちのとき、名前を呼んだ。
振り返ったときの
その笑顔の素晴らしかったことよ。
ああ。運動会。
家族ごとに、
ひとりひとりに、
それぞれドラマがあるんだね。