スクール写真撮影。高校生の集合写真の現場での出来事。
ひとり、生まれつき低身長の生徒さんが運悪く4列目で完全に埋まってしまっていた。
集合写真では、前の人との間に顔が被ってしまったらNG写真となる。
どうしよう。
一番前に移動してもらう手もあるけれど、
名前順に並んでいるからそうもいかない。
何より、彼の自尊心を傷つけてしまう。
どうしよう。
多分、今まで彼は集合写真の度に
暗い思いをしてきたのだろうな。
彼の表情が、全てを表していたから。
見に来ていた写真館の社長。
なんと、彼を肩車。
撮影が終わり列が崩れ、肩車から降りた高校生。
撮影前の彼とは全く違った
安堵とうれしさが混ざった何とも言えない表情だった。
撮影で問題が起きたとき、
対応策を瞬時に判断することが要求される。
それを、道具や安易な方法に頼るのではなく
自らの体を使って、彼を傷つけることなく解決した
その社長の判断力に、私は打たれてしまった。
あとから聞くと、その社長
ヘルニア持ちだと。
「中身がつまっていて重かった」と笑い飛ばしていたけれど
本当に感動したできごとでした。