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チェルノブイリ ナタネで土壌浄化

アフガンに捧げた伊藤和也氏 半生のNHKドキュメンタリ
『菜の花畑の笑顔と銃弾』を見たとき、強烈に印象に残った一枚の写真。
nanohana.jpg
戦争で疲弊した不毛の地の土壌改良に、菜の花が効果がある
ということで植えられた菜の花たち。
そこに子供たちが笑顔いっぱいで遊んでいる姿が、
アフガンの未来を照らしているような気がして。
写真は、被写体そのものよりも
むしろ撮影者の人となりを表す・・・

ということを聞いたことがある。
まさにその写真が、これ。
この写真を見ていると、伊藤さんと子供たちとの会話が聞こえてくるようだ。
伊藤さんのアフガンの人たちに対する想いが
そのまま伝わってくる。
撮影者伊藤さんと、子供たちのステキなつながりがもたらした
奇跡の一枚だと思った。
何年かかるか分からないけど、
日本の地で子供たちが元気に笑う日がきますように。

チェルノブイリ ナタネで土壌浄化 日本の団体が主導
毎日新聞 4月12日(火)20時23分
ウクライナ北部ナロジチの農地で黄色い花を咲かせるナタネ=2010年6月撮影、「チェルノブイリ救援・中部」提供
 史上最悪の放射性物質漏れを起こした1986年のチェルノブイリ原発事故で、国土が汚染されたウクライナ。高濃度汚染地の北部ナロジチでは地域再生を目指し、ナタネの栽培で土壌を浄化する試みが日本の民間団体の主導で4年前に始まった。成長過程で放射性物質を吸着する性質があるためだが、事故から20年以上が過ぎて放射性物質が土壌と結合、地中深くにも浸透して吸着を困難にしていた。土壌汚染が深刻化している東京電力福島第1原発の周辺地域では、耕作地を放置せず、早期の対策が求められる。【ナロジチで田中洋之】
 ◇農業に打撃
 ウクライナの首都キエフから車で約3時間。北部ジトーミル州のナロジチ地区に入ると、廃屋と荒れ果てた農地が目立つ。中心部につながる道路沿いも人影はまばらだ。
 ナロジチはチェルノブイリ原発の西約70キロに位置する。原発から半径30キロに設定されている居住禁止区域からは外れているが、放射性物質による汚染度が高い「ホットスポット」の一つだ。
 ナロジチは肥沃(ひよく)な穀倉地帯で、小麦やライ麦などが大規模に生産されていた。しかし、汚染で農地の95%が作物栽培禁止区域となり、地域経済を支えていた農業は壊滅的な打撃を受けた。
 事故直後から住民の移住が相次ぎ、人口は3万人から1万人に減った。ワレーリー・トロヒーメンコ地区行政長(44)は「井戸水は今も飲料に適さない。子供から大人まで、住民の健康状態はよくない」と訴えた。
 住民は今も自家菜園で育てた野菜や、森のキノコやベリー類を採って食べており、内部被ばくを防ぐため野生のものはなるべく食べないよう勧告しても、伝統的な食習慣をやめさせることは難しいという。
 ◇NPOが支援
 ここで日本のNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(本部・名古屋市)が「菜の花プロジェクト」を始めたのは07年。90年からチェルノブイリ事故の被災者支援を続けてきたが、次のステップとして地域の自立支援に乗り出した。ウクライナでは政府が土壌汚染対策として事故後に石灰をまくなどしたが、資金難で現在は行われておらず、プロジェクトには地元から大きな関心と期待が寄せられた。
 ◇「福島も早期取り組みを」
 ナタネはカリウムやカルシウムと性質が似ている放射性セシウムやストロンチウムを根が吸収、茎などに蓄えられる性質がある。汚染で長年耕作が放棄されていた農地の一角18ヘクタールに、春まきと秋まきのナタネ栽培を始めた。肥料の配分など条件を変えながら吸収状況の調査を進める一方で、毎年春に黄色い花が咲き、住民たちの心をなごませている。
 吸着度合いは植えられる土の質によって異なるが、ナロジチでの効果の分析などを担当している国立ジトーミル農業生態学大学によると、栽培後の土壌で水溶性セシウムの減少が確認された。しかし、事故から25年近くが経過したことで放射性物質が地表から内部に広がり、セシウムで約20センチ、ストロンチウムで約40センチの深さに浸透していた。さらに放射性物質が土壌の粒子と固く結合し、吸収されにくい状態になっていることも分かった。
 同大のニコライ・ディードフ准教授(53)は「土壌の放射性物質の絶対量を減らすにはかなりの時間がかかるだろう。ただ、ナタネで水溶性のセシウムを吸収させたあとに小麦やライ麦を輪作で植えていけば、汚染の少ない作物が収穫できる」と指摘した。
 ◇油を燃料に
 プロジェクトの狙いは土壌改良だけではない。収穫されるナタネ油は放射性物質が含まれないためディーゼル燃料に加工し、茎や根からはバイオガスを作る計画だ。最終的に残る汚泥などは低レベル放射性廃棄物として処分・管理し、リサイクル型の社会づくりを目指す。
 菜の花プロジェクトの発案者で、3月まで四日市大非常勤講師(環境科学)を務めていた「救援・中部」の河田昌東(まさはる)理事(名古屋市在住)は、「(今回のプロジェクトを通じて)放射性物質で汚染された土壌は年数がたつと浄化が難しくなることが分かった。福島第1原発事故で土壌浄化を行うのであれば、早い段階で汚染された地表部分を撤去するなどの取り組みが必要だ」と話している。
 ◇ことば ホットスポット
 原発事故で放射性物質が大気中に放出されると、必ずしも同心円状に広がらず、その時の気象条件や地形などによって複雑・不規則に拡散する。こうした現象で生まれた局地的に高いレベルの汚染地帯をホットスポットと呼び、国際的には住民の避難指示などの対応で考慮される。チェルノブイリ原発事故では300~600キロ離れた場所でも高濃度の汚染が確認された。

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