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ジワジワと効いてくる映画。『流 ながれ』

映像師匠の能勢広氏が11年の歳月をかけて完成した映画『流 ながれ』
トーク&上映会へ行って来ました。

私が師匠と会った時が8年くらい前。
当時、この映画の撮影は続けられていて
それを今、こうして作品として上映されたのを見るのは
とても感慨深いものがありました。

カフェ OHANA「にっしい劇場」@東京都・三軒茶屋
チャイをいただきながら映画観るなんてサイコー。

撮影秘話とても楽しかったです。
製作者と観客がこうして近い位置で語れるのはステキです。

観客の方が「ダム問題を声高に主張していないところが素晴らしい」
と感想を言っていました。
本当に、そうですね。

ちょっと余談なのですが。
この映画を観て、以前デザインの学校へ行ったときのことを思い出しました。
授業で「メッセージポスターを作る」という課題がありました。
完成したのはこちらなのですが

この写真を使ってキャッチコピーに迷いました。
「孫への、責任」
そして、その脇に 脱原発の意味をする「NO NUKES」のキャッチを入れようと思っていたのですが
デザインの先生(ROCKET INC. のS先生 )が その時に言ってくれたことが新鮮でした。

「NO NUKES」は、ないほうがいい。と。
「暴力反対」っていくらポスターで訴えても
暴力が無くならないように
反原発を直接的に訴えても効果はない。
直接的なメッセージではなく間接的なデザインで
いかに伝えるか。

これは目からウロコの教えでした。

横道に反れましたが。
この映画、「流 ながれ」。

環境問題や、ダム問題。
この映画はいろいろな重大な社会問題が内包されています。
でも、決してそれは前面には出ていない。

撮影した能勢さんが言っていました。
「ダム問題を描きたかったわけじゃない」って。

ひたすら、水生昆虫や、カワラノギク。そしてそれを見つめる
2人のおじいさんや少年の心情や行動にフォーカスしている。

それは、どんな強烈なデモ活動や街頭演説よりも
強い力を秘めているのだということを実感しました。

ボディーブローのように、ジワジワと効いてくる感じです。
淡々と流れる映像の中に
二人のおじいさんの心情がMAXになるシーンがあります。
私はそこが大好き。

首都圏最大級の水がめ「宮ヶ瀬ダム」の下流を流れる神奈川県の中津川を2001年から10年に及ぶ取材を敢行し、自然に与えた影響を浮き彫りにする自然ドキュメンタリー。
関東の一部の河川だけに生息する植物「カワラノギク」の保護活動に単身で打ち込む住民、昭和30年代から川の水生昆虫調査を行う元教師に密着。
身近すぎて見落としがちな自然の中にも、決して無視することのできない環境問題が存在することに気付かされる。
ストーリー:自然豊かな神奈川県・中津川の近くに住む二人の男性は、かたや絶滅危惧種の植物「カワラノギク」を保護し、かたや川の水生昆虫調査を昭和30年代からの長きにわたり続けている。2000年には、川の上流に首都圏最大級という宮ヶ瀬ダムが完成。その翌年から10年間、彼らの活動と共にダムができたことによる自然環境の変化を記録した。
カフェオハナ「にっしい劇場」@三軒茶屋
今後も希望があれば上映会開催は可能だとのことでした。
お問い合わせ:にっしぃこと西村様(090-4090-6002またはHideki.Nishimura@bsci.com )
DVDも発売開始!
「流 ながれ」DVD発売になりました!!!
「流 ながれ」オフィシャルHP

『映画テレビ技術 5月号』の表紙です。

ビデオカメラ+水中ハウジングを使って水生昆虫を撮影している能勢広氏。
私も水中撮影の際、この機材にはお世話になりました。

師匠、トリプル受賞おめでとうございます!
2012 キネマ旬報 ベストテン 文化映画部門 第4位
■ 第53回科学技術映像祭 文部科学大臣賞
■ 2011 日本映画テレビ技術協会 記録映像部門 映像技術賞

(左)能勢 広氏 (製作・撮影) (右)村上浩康氏(監督・編集)

EOS 5D Mark III + EF50mm F1.0L USM 1/320 F1.1 ISO6400

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