シニア|長寿祝・生前遺影

【記事】<弔いのかたち>遺影 肖像画で「成長」した姿に

<弔いのかたち>遺影 肖像画で「成長」した姿に
2012年4月24日(火)13:00 毎日新聞
時代の風が生き方を変えていくように、死を取り巻く風景も移ろっていく。東日本大震災で多くの命が奪われた一方、日常の身近な死は見えにくくなっている。亡き人をいかに悼み、自らの最期にどう備えるか――。現代の「弔いのかたち」を探っていく。【丹野恒一、山寺香】
◇希望通りに修正 専門の写真館も
「おっ、卓弥も来たな。これでみんなそろった」
昨年1月9日、福島市の成人式会場。久しぶりに顔を合わせた中学時代の同級生たちの輪の中に、額絵に描かれたスーツ姿の青年がいた。
高校1年だった06年、自転車で大型トラックにひかれて亡くなった斎藤卓弥さん。肖像画には、生きていたらなっていたであろう少し大人びた卓弥さんが写真のように描かれていた。
母親の貴栄(たかえ)さん(45)は、生前の写真をもとに成人した姿を描いてもらえると知り、神戸市の肖像画家、粳池能子(うるちいけのうこ)さん(46)に制作を依頼した。「二十歳になった卓弥に会いたい」との思いだった。
卓弥さんの写真とともに、真新しいネクタイを粳池さんに預けた。二十歳の記念に買ったネクタイだ。スーツも夫のものを撮り、作画の参考にと送った。
当日は、「卓弥も連れて行きたい」と申し出ていた親友が肖像画を抱え、式典に臨んだ。夜に開かれた同窓会も一緒だった。貴栄さんは「友人たちは『まるで卓弥がいるように楽しい時間を過ごせました』と言ってくれた。今も卓弥の記憶は15歳で止まったままだが、一瞬だけでも『大人になったんだよ』と言ってあげることができて本当によかった」と話す。

粳池さんは17年前から、写真を模して肖像画を描いている。修正の要望があれば、輪郭や髪などを変えて年相応に仕上げる。当初は先祖代々の肖像画を家に飾っている人からの依頼が多かったが、最近はニーズが多様化。「生後まもなく集中治療室から出られないまま亡くなった子どもを、チューブが外れた姿で残したい」といった注文もあるという。
大阪府八尾市の介護福祉士の女性(43)は一昨年、父親の古希の記念にと、粳池さんに肖像画を依頼した。好きなたばこを指に挟んだ写真と、表情が良い写真を送り、組み合わせて描いてもらうことにした。
しかし、父親は間もなく胸に悪性の腫瘍が見つかり、抗がん剤治療で風貌も変わってしまった。70歳の誕生日の4日前に息を引き取り、同じ日、ちょうど出来上がった肖像画が届いた。
絵の梱包(こんぽう)を解くと、家族たちは息をのんだ。「元気だったころのお父さんそのままだ」。遺影として葬儀の祭壇に飾ることに、異論は出なかった。「あまりにも『生きた絵』だった。迷いはなかった」と女性は振り返る。

「人生で最後の写真を撮るわけじゃない。声に張りがあるから、あと20年は生きるね」。東京都中野区の写真スタジオ「素顔館」で遺影写真家の能津喜代房(のづきよふさ)さん(63)は、鹿児島から上京した村田ツヤ子さん(73)に話しかけた。撮影前に約30分かけて雑談で緊張をほぐし、「普段着の笑顔」を引き出していく。
村田さんは40年前に夫を亡くし、働きながら2人の子どもを育てた。撮影は、都内在住の長女、前東さとみさん(49)が「離れて暮らす母のとびきりの笑顔を残したい」と提案した。「生きているうちに遺影を撮るなんて戸惑ったけれど、自分のお葬式で気に入った写真を飾ってもらえるならうれしい」と快諾。孫の杏依(あい)さん(20)も含め3人で写真館を訪れた。
最初は表情が硬かった村田さんも、杏依さんがカメラの背後に立って手を振ると、宝物を慈しむような優しい笑みに。その瞬間、シャッターがカシャリ。杏依さんは「おばあちゃんらしい」とうれしそうだった。
撮影を終えた村田さんは「これでお葬式の時も安心です」。毎年遺影を撮り直す人も少なくないと聞き、「来年はもっと明るい口紅にしよう」と3人で話が弾んでいた。
能津さんは08年に遺影専門の写真館をオープン。葬儀に参列するたび、集合写真を無理に引き伸ばした、ぼやけた遺影を見て悲しかったという。これまでに2500人以上を撮影した。
「生前の遺影撮影は、本人だけでなく残される家族のためでもある。子や孫がうれしいことを報告すると、『良かったね』と返事が返ってくるような写真を撮りたい。そうすれば、いつも一緒にいるような気持ちになってもらえるのでは」
■利用案内
◇遺影の生前撮影
全国2600の写真館が加盟する「日本写真館協会」は昨年から、各地で「明るい遺影写真展」を開き、生前撮影の普及を図っている。今夏は新潟で開催予定。公式サイト(http://www.shashinkan.com/)で最寄りの写真館を検索できる。能津さんの写真スタジオ「素顔館」は、撮影と2Lサイズのフレームがセットで6500円、データCDも付けると1万5000円が標準価格。電話03・6659・5111。サイトhttp://sugaokan.com/
◇写真による肖像画作製
粳池さんの「アトリエNOKO」は額縁付き肖像画で4号12万円から。電話078・917・3110。サイトhttp://www.hi-net.zaq.ne.jp/noko/

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しいれい とは【see 見る】と【光を意味する ray】で 被写体の「光を見る」達人になりたいという想いから。ビデオグラファーの経験を生かしたドキュメンタリー撮影技法で、自然な表情を切り取るナチュラルポートレイトの提案をしています。「光=真のあなたの魅力」を写真を使ってお伝えします。

【受賞歴】
・エプソンフォトグランプリ入賞
・三渓園フォトコンテスト入賞
・Photoback for Biz Award(アルバム制作)金賞
・明治安田生命マイハピネス 8回受賞&CM採用

しいれい プロフィール詳細≫≫★
https://seerayphoto.com/about-seeray

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